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【番外編】作品で知るラスキンとラファエル前派衆

現在、東京・丸の内にある三菱一号館美術館にて、ラスキン生誕200年記念『ラファエル前派の軌跡展』が開催されています。
19世紀後半の西洋美術において強烈なインパクトを与えた芸術活動 “ラファエル前派”。
その渦中である作家たちが織りなす人間関係を知ると、新たな発見があって面白いのではないかと思い、番外編としてまとめる運びとなりました。展覧会を愉しむ際の豆知識として、是非読んでみてください。

恋に夢中になった画家 ジョン・エヴァレット・ミレイ

11歳のときに最年少でロイヤル・アカデミーに入学するほど、絵画界の神童だったジョン・エヴァレット・ミレイ。
ミレイはラスキンの妻エフィの素描を描いた際に、「いままでこんな素敵な女性を見たことがない」という言葉を残しました。
そんなミレイのエフィに対する恋心は、絵画にも顕著に表れています。
1853年に描かれた《滝》(上の写真) は、エフィが偶然写り込んだスナップ写真のように見えます。しかし、こちらの作品からはまるで高まる恋心が抑えきれなくなり、無意識のうちにエフィを描き入れてしまったかのようでした。
その後、エフィはラスキンと離婚し、ミレイと結婚することになります。
そんなこともあって、ミレイが最初にラファエル前派から離脱をしました。
その一方でラスキンは、ミレイが技術的に非常に高い能力をもっていることを認めていたので、ラスキンにとって妻と天才画家を失ってしまう致命的な結末を生むことになってしまったのです。

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの作風

魅惑的な女性を多く描いているロセッティは、1865年にラスキンからの手紙で《ウェヌス・ウェルティコルディア(魔性のヴィーナス)》(上の写真)を批判されてしまいます。
さらにラスキンは、ロセッティの作品全般について、作風の方向性の違いを嘆いていました。ロセッティの描く絵画作品は、挑発的であからさまにアダルティな風貌であるため、ラスキンを困惑させてしまったのです。
よって、彼らの間にかつてあった友情は次第に薄くなり、互いに相手への不満を表明するようになりました。

ウィリアム・モリスの社会主義運動

ウィリアム・モリスの活動が先駆けとなった「アーツ・アンド・クラフツ運動」とは、個人の手仕事にこだわり、工業生産のありかたに異を唱えた運動です。モリスはラスキンと親しくはなかったですが、ラスキンが芸術の重要性に気づかせてくれた人だと話しています。
『装飾的芸術は職人によって立派な民衆芸術の伝統を守って造られるべきである』という概念はラスキンによって生まれ、モリスによって実現されました。
彼らは、『そうして造られたものは造った側に充足感を与え、それを使う側に精神的な満足を与える』と信じていました。
のちにモリスは、晩年には政治改革活動に全力を捧げた社会主義者となっていきました。


ラスキンをとりまくラファエル前派の作家たちとの人間模様を知ることが、また違った方向から絵画作品を愉しむキッカケの一つになれたら幸いです。
本展では、音声ガイドの貸出* や図録の販売* の用意しているので、この機会に利用してみるのもいいかもしれません。

MEMO
*音声ガイドの貸出料金(展覧会入口にて貸出):520円
*展覧会図録(会場ショップ内にて販売):2300円

本展覧のご紹介

【レポート】ラスキン生誕200年記念『 ラファエル前派の軌跡展 』