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もっと、知る識る! 魅惑の ラファエル前派 vol.3

ラファエル前派

ラファエル前派 について全3回でお伝えしています。ラファエル前派にはいくつかモットーがありましたが、その内の一つが、『絵でも彫刻でも絶対に美しいこと』というもの。このモットーにならって多くの作品が制作されましたが、次第にそれぞれの個性が露わになり、初期メンバーは徐々に集団としての結びつきが解けていきます。そうした中、活躍しはじめたのがラファエル第2世代です。

今回は、初期メンバーの中心的人物であったロセッティと、第2世代の中心メンバーであり、ロセッティの弟子となった、エドワード・バーン=ジョーンズの作品をご紹介します。

神秘性を作品に込めた画家

ロセッティは、もともと中世イタリアの文学に憧れを抱いていており、神秘的なものや謎めいたものが大好きでした。
彼が描いた作品も、神話や伝説を題材にしたものが多く、30代頃りからは、女性を神話の登場人物に見立てて描いています。

こちらの女性が着用している赤い衣装や、女性の両側に描かれた赤い花が印象的なロセッティ作品も、一つひとつのアイテムに様々な意味合いが存在します。

ラファエル前派

ダンテ・ガブリエル・ロセッティ『 シビュラ・パルミフェラ 』1865-70年
(Photo by Earl Art Gallery

様々な意味が込められたアイテム

この作品の中で、注目したいアイテムの一つ目は、女性が右手に持っている細長い植物はヤシ。勝利を表すものです。

そして、女性の左側にあるのはバラの花で、よく見ると目隠しをしたクピド(キューピッド)が柱に彫られています。バラとクピドは愛の象徴です。
また、女性の右側を見ると、赤いポピー(ケシ)の花と、こちらにはドクロが彫られた柱があります。ポピーと骸骨は、死の象徴です。
さらに、女性の肩付近を飛んでいる蝶は、旅立っていく魂を表しています。

作品が意味するものとは?

これらのアイテムを合わせて見ると、愛と死の循環が表されており、「美」が男性の意識を自由に操るものであることを意図しているといわれています。

描かれている女性が、勝利の象徴であるヤシを手にしたところなのか、それとも観ている私たちに渡そうとしているのか…?
私たちをじっと見つめている女性の瞳が、ミステリアスさを醸し出しています。

19世紀末に最も愛された画家

もともと聖職者を目指していた、エドワード・バーン=ジョーンズですが、ロセッティと出会い、彼の弟子となりました。
イタリアを訪れた際に、色彩豊かなヴェネツィア美術の研究に励み、色鮮やかな作品を多く生み出すなど、19世紀末にイギリスで最も愛された画家として評価されています。

そんなバーン=ジョーズも神話をテーマにした作品を手掛けており、今回ご紹介するものも、その一つです。

ラファエル前派

エドワード・バーン=ジョーンズ『 赦しの樹 』1881-82年
(Photo by Earl Art Gallery

どんなシーンを描いているのか?

男性に女性が抱きついている本作は、女性の足元を観てみると、足が樹に入り込んでいるのがわかります。なんとも不思議な光景ですね。

この絵画のお話は、描かれている女性と男性が恋に落ちたことろからはじまります。
婚約をした男性は故郷へ一旦帰りますが、帰りを待ち焦がれた女性は嘆き悲しみ、自殺しようとします。それを神によって止められ、アーモンドの樹に変えられました。
女性の居た地へ戻った男性は、女性が樹に変えられたと知ると、悔いて樹を抱きしめます。すると花が咲き誇り、愛する女性が樹から現れる、というシーンを描いています。

『 赦しの樹 』の樹とは?

本作で出てくる赦しの樹とは、アーモンドの樹です。
アーモンドは、他の樹に先立って1〜2月頃に目を出すため、目覚めの樹であったり、新たな生命の象徴として描かれています。


全3回でお届けした、『 もっと!知る識る ラファエル前派 』は、いかがでしたでしょうか?
現在、美術展も開催中ですので、美しくて華やか、そして緻密な自然描写を楽しめる作品に、ぜひ楽しんでくださいね!

 

メインキャプション:エドワード・バーン=ジョーンズ 「ヴィーナス讃歌」 1873-75年
(Photo by パブリックドメインQ)