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【アートコラム】もっと、知る識る! 魅惑のラファエル前派 vol.1

冬から春に季節がどんどん変わるとともに、新しい展覧会もぞくぞくと開催され始めました。
今年もたくさんの作品が、世界中から日本に集まってきますが、あなたはもう新しい美術展情報をチェックしてますか?

春に向けて、色鮮やかな作品が楽しめる、「ラファエル前派」の作品はいかがでしょうか?

…ところで、『 ラファエル前派 』って…一体何なんでしょうか!?
ルネサンスの画家であるラファエロ・サンティのようなネーミングとは思うけれど、一体どんな画家によって、どんな絵が描かれたのか?
より楽しく作品世界に入っていただけるよう、『 ラファエル前派 』について、全3回でお届けします。

そもそもラファエル前派って、なに?

『 ラファエル前派 』とは、1848年からイギリスで活動した美術家集団の名前です。
メンバーのほとんどが、ロンドンにあるイギリス最古の美術学校、ロイヤル・アカデミーに通う学生でした。

当時のヨーロッパ諸国では、ルネサンスの巨匠ラファエロにより、確立された美の基準がありました。
ロイヤル・アカデミーでは、その基準をもとにした伝統や、格式を重んじる美術教育がおこなわれていました。
ラファエル前派のメンバーは、これに反発し、ラファエロが活躍した時代よりも、ずっと以前に制作された“中世美術”に強い憧れを持ち、活動をはじめたのです。
また、美術評論家であるジョン・ラスキンが主張した「芸術は自然に忠実であるべきだ」という言葉に、大いに刺激されました。

ジョン・エヴァレット・ミレイ 『 オフィーリア 』1851年
(Photo by パブリックドメインQ)

こちらは、ラファエル前派でとても有名な作品の一つ。
主要メンバーであったジョン・エヴァレット・ミレイが、シェイクスピアの『 ハムレット 』に登場する、オフィーリアという人物を描いたものです。
細かな部分まで丁寧さが行き届き、自然本来の姿に忠実な描写が、まるで写真と見間違うようです。

なぜ中世美術に憧れるのか?

1800年中頃のイギリス美術界では、先人の作品を単純に真似たような作品や、技術的に優れていれば高い価値がつくという風潮がありました。ラファエル前派のメンバーはそれらの作品に対して、形式的に描かれているだけで、心の欠如を感じていたのです。

ジョット・ディ・ボンドーネ『 マギの崇拝 』1320年
(Photo by THE MET)

そこで、作品を描くにあたって基本的な心構えや意識を見直すべく、上記の絵画で紹介しているジョットが手掛けたような、5〜15世紀の中世美術に目を向けることで、美しさに対する心や純朴な信仰心を見い出そうとしました。

このようにして出来た作品は、観察眼が優れており、自然の美しさを忠実に表しています。
目には見えない精神の神秘的な部分や、聖なる存在を表現しようとしたことが伺えます。

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ラファエル前派のメンバーは、平均年齢が20代前半ととても若い世代の集まりですが、美術の世界に新しい革新をもたらそうとしました。

次回は、そんな情熱を持った彼らの作品をご紹介します。

メイン・キャプション:フレデリック・レイトン『 母と子(さくらんぼ)』1865年
(photo by Earl Art Gallery (旧アート at ドリアン  Arts at Dorian) )