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【レポート】知られざる北欧・フィンランドの大型作家「 ルート・ブリュック 蝶の軌跡」

現在、東京ステーションギャラリーにて開催中の「 ルート・ブリュック 蝶の軌跡」。北欧・フィンランドを代表するアーティストのルート・ブリュックは、初期の愛らしい陶版から晩年の膨大なピースを組み合わせた迫力あるモザイク壁画まで、幅広い作品を手がけてきました。約200点のセラミックやテキスタイルなどを通じて、その多彩な仕事ぶりを日本で初めて網羅する本展覧会をご紹介します。

偶然の出会いによりセラミックの世界へ

もともと建築家になりたかったルート・ブリュック。兄の助言によりその夢は断念しつつもアートの道へと足を踏み入れまます。美術学校を卒業したのちにグラフィック・アーティストとして働きはじめ、彼女が手がけたイラストやテキスタイルは世間から好評を得ました。
そして、アラビア製陶所のアートディレクターを務めていた クルト・エクホルム によりヘッドハンティングされ、セラミック・アーティストとしてめざましいキャリアを積み、50年勤めました。

鋳込み成形(スリップ・キャスティング)による新技法の所得

ブリュックは技術者とともに約2年の歳月をかけて、型取りによる新技法を開発しました。それが、鋳込み成形(スリップ・キャスティング)です。石膏型に線描の絵を彫り込み、そこに粘土を水で溶いた泥漿(でいしょう)を流し入れることで、凹凸のある陶版を作り、凸線に沿って釉薬を塗り分ける手法です。彫り込んだことによって生まれた趣のある線と、厚みのある釉の面が特徴的。型を用いることで、同じ図のバリエーションを作ることも可能になりますが、着色などによって唯一無二の作品が生まれます。

ブリュックにとって特別な存在の “蝶” モチーフ

ブリュックの父 フェリクスが蝶の研究者だったこともあり、彼女にとってとりわけ蝶は個人的に大切なモチーフとなりました。ブリュックはフェリクスが亡くなったあと、蝶をモチーフとした多くの作品を残しています。正方形や長方形の器の形状に蝶を描いた作品もあり、壁面への展示を展開するなど、様々な展示方法によって作品の魅力が際立ちます。空を舞う蝶の群れのようにダイナミックなインスタレーションもあれば、標本のように整然と配置されていることもありました。溢れんばかりの色彩をまとって自由に飛び回る蝶は、何者にも囚われないブリュック自身を表しているのかもしれません。

これまでの”北欧・フィンランド”のイメージをアップデート

ブリュックの作品は、前期から後期へとドラマティックに変化する作風が魅力的です。しかし、彼女自身のナイーブな感性が紡ぐロマンティックでどこかスピリチュアルな世界観は、日本人がこれまで親しんできた「明るく、愛らしい」というフィンランドの既存イメージを新たにすることでしょう。

これまで、フィンランドの人々に愛されてきた著名作家でありながらも、日本ではブリュックの手仕事を紹介される機会はありませんでした。本展覧会では一点もののレリーフを中心に、多ジャンルにおよぶ彼女の仕事や感性を共有する絶好の機会です。是非足を運んでみてはいかがでしょうか?

開催概要
ルート・ブリュック 蝶の軌跡

会期:2019年4月27日(土)〜6月16日(日)
開館時間:10:00-18:00
*金曜日は20:00まで開館 *入館は閉館の30分前まで
休館日:4月29日、5月6日、6月10日をのぞく月曜日、5月7日(火)
入館料:一般 1,100円 / 高校・大学生 900円 / 中学生以下無料
*20名以上の団体は、一般 800円、高校・大学生 600円
*障がい者手帳等持参の方は100円引き(介添者1名は無料)
会場:東京ステーションギャラリー
主催:東京ステーションギャラリー[公益財団法人東日本鉄道文化財団] 後援:フィンランド大使館、フィンランドセンター
企画制作:エスポー近代美術館、タピオ・ヴィルカラ ルート・ブリュック財団、ブルーシープ