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【レポート】『ダイアン・クライスコレクション アンティーク・レース展』

現在、渋谷区立松濤美術館にて開催されている『ダイアン・クライスコレクション アンティーク・レース展』。ヨーロッパの王侯貴族たちの間で、富と権力の象徴として流行したレース。世界的なアンティーク・レースのコレクターで、鑑定家でもあるダイアン・クライス氏の数万点にもおよぶ膨大なコレクションから、16世紀から19世紀のレース全盛期の品々を中心に、175件をご覧になれる展覧会をご紹介します。

レースの誕生に迫る

 

現在では袖口や襟周りなど洋服の一部として多用されているレースですが、レースの誕生は16世紀イタリア・ヴェネチアにて刺繍の技術をもとにした「ニードルポイント・レース」と、17世期オランダ南部とベルギー北部、そしてフランス西部にまたがる、フランドル地方の房飾りの技術をもとにした「ボビン・レース」に大きく分類されます。
レースの技法の誕生から宮廷文化が花開く18世紀において究極まで高められた、ニードルポイント・レースとボビン・レース。レース発祥の地であるイタリアから、その発展の地であるフランス、さらにはイギリスやドイツに至るまで、ヨーロッパから世界へと広がるレースの系譜を読み取っていくと、その糸に込められている職人技による美しさも然ることながら、歴史的価値にも心奪われます。

可愛らしい柄やその意味にも注目!

レースは技法の発達とともに様々なモチーフを描き出すようになりました。花や蔓や葉などの植物にはじまり、動物や昆虫や鳥といった生き物、王侯貴族から農夫といった人々から天使や神仏に至るまで、実に多くのモチーフがレースの中に表現されています。蝶は「魂」、鳥は「平和」など描き出されるモチーフには様々な意味が込められています。
写真の額装された左の3点の作品は19世紀のフランス画家・ミレーの絵画を模したボビン・レースです。中絵に使用されている「種まく人」「落穂拾い」「晩鐘」は、当時社会的に身分の低かった農村の労働者を宗教的な意味を込めて描いています。労働者階級の名誉を重んじて注文されたこちらの作品は、レースデザイナーやレース職人に職と収入を与えました。

キリスト教文化に根付くレースの役割

レースはヨーロッパの権力者や王侯貴族たちだけでなく、カトリックの教えが暮らしに根付く国々において、その人生の節目を祝う宗教儀式にも用いられていました。その影響は乳飲み子の洗礼式にはじまり、結婚式や葬礼などの冠婚葬祭など、レースは贅沢のためだけでなく普通の人々の暮らしにも希望の光をもたらしたのだそう。
現在、結婚式の時には白いレースが用いられることが当たり前になっていますが、19世紀英国のヴィクトリア女王とアルバート公が挙式をする際に、白いサテンのドレスに英国産のレースを用いたことがキッカケとなり、以降純白のドレスとレースのヴェールの習慣が広まりました。

優美で繊細な美の世界を堪能しよう!

 

ヨーロッパの王侯貴族たちの間で、富と権力の象徴として流行したレース。熟練した職人たちが長い時間をかけて手作業で生み出したレースは、単なる豪奢な装飾品の域を超え、時には城や宝石をしのぐほどの価値を持ちました。本展覧会はそのような16世紀から19世紀のレース全盛期の品々を中心に紹介しています。また、担当学芸員によるミニ講座やギャラリートークをはじめ、展示されているレースのデザインを用いたグッズなども展開されています。是非、優美で繊細な美の世界を楽しめる本展覧会に足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

展示会情報
ダイアン・クライスコレクション アンティーク・レース展
DIANE CLAEYS COLLECTION ANTIQUE LACE

会期:2018年6月12日(火)~2018年7月29日(日)
会場渋谷区立松濤美術館

開館時間:午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
※金曜は午後8時閉館(入館は午後7時30分まで)
入館料:一般500(400)円、大学生400(320)円
高校生・60歳以上250(200)円、小中学生100(80)円
*( )内は団体10名以上及び渋谷区民の入館料
*土・日曜日、祝休日及び夏休み期間は小中学生無料
*毎週金曜日は渋谷区民無料 *障がい者及び付添の方1名は無料
休館日:7月9日(月)、17日(火)、23日(月)
HPhttp://www.shoto-museum.jp/exhibitions/178lace/